5章さとる1節 of 半分ずっこ

第五章「すばらしい!」

第五章 すばらしい!

1節:なるほど


 彼は昔から、行動してから考える質だった。子どもの頃は飛んで跳ねて怪我をして叱られていた。そしてげんこつをもらい、何度か痛い思いをして初めて、なるほどと考えて行動していた。例えば、火のついたロウソクに手をかざし、どのくらいの時間我慢できるか試したり、理科の実験で指定された以上の量の液体を使えば、もっと大きな変化があると考え試したりしていた。寄り道が大好きで、真っ直ぐには歩かない子どもだった。

 彼の中の“なんだろう”は、いつも大きく膨らんでいた。彼には変わり者というレッテルが、頭のてっぺんからつま先までくまなく貼られていた。それでも彼は気にも留めなかった。なぜなら自分ではそれが、まったくの当たり前だったからである。そのため、また飛んで跳ねて怪我をしてげんこつをもらうということを繰り返していた。そのやり方しか知らなかったし、そのやり方が気に入っていた。

 会社を辞めた時も津屋崎に移住を決めた時も同じだった。後から考えようと思って決めた。ただ以前とは違って、怪我はしないだろうと思っていた。もっと言えば、その怪我も怪我とは思わずに済むだろうと思っていた。

 子どもの頃からのレッテルは幾重にもなり、今や強靭な鎧となっていた。痛みを感じないでいられる程の強さは、彼のような男には必要だった。また、仕事がなければ作ればいいと思っている彼には、それを実行するためのパワーが必要になってくる。前に出て行く押しの強さは、そのような理由で発揮されてきた。

 常に自分を試すことを楽しんでいた彼にとって、日常のすべてが実験の場であった。


















DSC_3744_R.JPG
なんでだろう?