4章せいこ1節 of 半分ずっこ

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第四章 家族

1節:原風景


 元来、楽天家で明るい彼女は幼少時代から野山を駆け回り、いろいろなものを作っては壊すようなお転婆でした。

 こんなことがありました。自転車で家の周りをぐるぐると走り回っていたところ、向こう角から出てきた野良犬と出会いがしらに衝突してしまいました。怒ったその野良犬に追いかけられ家に帰ってくるなりほうきを取り出し、今度は反対にその野良犬を追いかけていたことがあります。
 こんなこともありました。まだ夏の暑さが残る秋の初め、この辺りでは稲の刈り取りの季節となります。彼女は刈り取りの済んだ田んぼに入り、地面に落ちた稲を少しばかり拝借し、廃墟となったトタン屋根の小さな小屋で何やら作業を始めました。ブリキの缶をひっくり返したものをフライパンに見立て、拝借してきた稲から籾殻を取って火で炙るのでした。

 「これ、ポップコーンよ」

 将来はかわいいコックさんになって、小さなお店でスパゲティを作って自分で食べるというのが彼女の夢でもありました。作ったら食べてしまうという子どもらしい発想は、周りの大人たちを和ませました。同時に周りの誰もが手先が器用で何をやらせても独創的だった彼女の夢は、かなり現実的な話だと思っていました。

 このように活発な幼少期を過ごした彼女でしたが、家族から反対されて料理の道を諦めなければならなかったのです。そして短大を出て地元の小さな会社の事務職に就くことになった彼女は、想像していた夢とは違う現実の厳しさを知るのでした。

 彼女の思い描いていた小さな夢や希望が、足元にぽろぽろとこぼれ落ちていったのです。
























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わたしの庭。