三章なび1節 of 半分ずっこ

半分ずっこバナー.gif

第三章 こころとからだ

1節:もやもや


(はぁ、だめだぁ…ふぅ)

 黙って砂浜に座っていると、その日一日のすべてが砂と砂の間に滑り落ちていくのが分かる。そして彼女は日暮れの優しい風に乗り、遥か海の彼方へ吹かれていく様な柔らかい気持ちになる。

 彼女はときどき自分自身と、どう向き合っていけば良いのか解らなくなる。仕事でパソコンと向き合っている時でも、誰かととても大切な話をしている時でも、相手の言動やその時の気温や湿度などのちょっとした環境の変化にも思考が引っ張られてしまう。自問自答のスイッチが入ってしまう。一度入ってしまったら、もうどうにもならない。仕事だろうがなんだろうが手に付かない。自分への問いは、周りのすべてを巻き込んでしまう。彼女は人を傷つけることを恐れるばかりに、その場を放棄してでも自分を安全な場所へと向かわせてしまう。目の前に人がいても、自分を自分の殻に閉じ込めてしまう。

(ちょっと、外の空気を吸わなきゃ)

 ちいさな頃からそうだった。頭の中のもやもやした気持ちを、どう表現したらいいのか解らなかった。気持ちを抑える術も知らなかった。特に同世代の女の子たちと一緒にいる時が顕著だった。彼女たちと楽しそうにおしゃべりをしたり、その輪に入って笑うことに疲れてしまうこともあった。同時に彼女たちの笑顔を見ながら、どうやって自分のもやもやを無くしているんだろうと、その方法を知りたいと強く思っていた。そして彼女は、そのもやもやを抱いたまま思春期を迎えた。

 それでも少しは青春というものに期待していた。友達と買い物をしたり、おいしいものを食べて楽しいおしゃべりをしたり、好きな男の子の話をして恋もしたい。

 でも、思い描いていた青春は、彼女の元へはやって来なかった。





















DSC_3738_R.JPG
ちいさな頃から…。